The beautiful colors
I met on my journey.わたしが出会った、色の記憶。
《Clearginoスペシャルエッセイ企画》第一弾は美容ジャーナリスト齋藤薫さんからの手紙。
多くの旅をし、世界の美を見てきた彼女の眼に映った黄色はどんな記憶なのだろうか。
ESSAY #001
食卓の、お皿の色は、オレンジイエローが理想的……そう言われるのを知っているだろうか?
色の効果が食欲を高め、気持ちを前向きにし、心身を軽やかにし、幸せな空気感を作ってくれるから。そして何より文字通りのビタミンカラーが、レモンやオレンジをイメージさせ、それだけで元気を生むからである。
なんだか良いことずくめだけれど、さらに言えば個人的には「シチリアの地」をまざまざと思い出させてくれるからこそ、食卓には無意識に黄色を飾りたくなるのかもしれない。シチリアのイメージは、まさにレモン一色。あちこちで見かけるレモンツリーからは、まぶしい太陽の光を受けた目の覚めるように鮮やかなレモンが、まるで星のごとく降り注いでくるし、街に点在するグラニーテバーを見かけるたびに口の中にほのかな酸味が広がって、たまらなくレモンが欲しくなる。これはレモンで作ったシャーベットを売る店だが、シチリアでは朝からブリオッシュにこのグラニーテを乗せて食べる習慣がある。レモンなしではこの地を語れないほどなのだ。
そして野菜に魚介、スイーツと、食べるもの全てが記憶から離れないほど美味しいのは、オリーブオイルとレモンの香りが常にそれらを引き立てるからだろう。黄色い食器は、そんなシチリアの味覚と視覚と嗅覚の、さらに言えばあのレモンを大きいまま絞ったときの、弾けるようにみずみずしい感触と高揚感の記憶をも引き出してくれるのだ。
初めて南イタリアを旅した時、太陽の煌めきと、透き通る海の青さとともに、女性たちの美しさに目を奪われたもの。しかしその美しさの秘密を聞いても、「特別なことは何もしていない」との答えばかり。だから思うのは、これだけ紫外線を浴びながらも彼女たちの肌がなめらかで均一なのは、他でもないレモンを毎日大量にとっているせい?いやそうに違いないのだ。
実は今、スキンケア業界でもビタミンCが改めて注目を浴びている。美肌成分の古典のようなビタミンCがなぜ今?
不思議に思うはずだけれど、スキンケアが進化して最先端の成分やテクノロジーを加えるほどに、逆に、定番中の定番だったビタミンCの凄さが際立ってくるといった皮肉な流れがあるのだ。
かくして今、どうしても手にしたいのが、ビタミンCをふんだんに届けるローション。これをレモンジュースのように浴びるほど使うこと、それが過酷な環境にあっても平然と美しい女性を作るのだと思う。
そして、食卓に黄色のお皿を並べるように、ドレッサーにVCのローションを常備すれば、ビタミンCがもたらす“黄色いレモンの五感を動かすほどの鮮烈なイメージ”が脳を活性化し、好奇心を高め、体の中から自らを元気にし、肌や表情まで活性化する。暗示だけではない、具体的な美しさの手段となるはずなのだ。
黄色いお皿、シチリアレモンの記憶、そしてビタミンCのローション……美しさと幸せを同時に生みだす鍵である。
AUTHOR
齋藤 薫(さいとう かおる)
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『“一生美人”力』(朝日新聞出版)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。近著に『されど“男”は愛おしい』(講談社)がある。